WBS(ワールドビジネスサテライト)で社風を数値化する「企業子宝率」なるものが紹介されました。面白かったので内容をご紹介します。
大企業、中小企業、どんな会社で働きたいか?を考えるヒントが見つかるかもしれませんよ。
「企業子宝率」とは、男女問わず、従業員一人あたりが在勤中に持てる子どもの数を算出した値。
※計算方法は合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数)に似た計算方法で算出される。
少子化や女性の社会進出・長時間労働など、ワーキングバランスの悪さが問題となっている現代社会。企業のあり方が問われていますが、制度を導入してもなかなか変わらない、変わったという実感が持てないという現状があります。
そんな中で誕生した「企業子宝率」という新たな指標。社風の良し悪しを算出することで、働く人の救世主になることができるのでしょうか?
子宝率の高い会社と低い会社の違いから、そのヒントを探ります。
大企業の「制度」が「働きやすい環境」を作るとは限らない?
近年は「女性の活躍推進」を掲げている企業が増えていますが、WBSでは「オリックスグループ」という会社をその一つとして紹介しました。
「オリックスグループ」では女性正社員のうち約3割がワーキングマザー。
育児休業やベビーシッターの補助などの手厚い支援策を打ち出しています。
自らもワーキングマザーであると言う人事部の女性(課長)も、この制度には自身を持っているようです。
「これ以上の制度はない、というくらい整っていると思う」
しかし
企業子宝率で見ると全国平均を下回る「1.19」。
これには人事部の女性も「正直ちょっとわからないですね。何でだろう?」と頭を悩ませます。
実際に働いているワーキングマザーが感じていること
オリックスグループの財務部で働いているワーキングマザー(財務部・36歳)を取材すると、必ずしも安心して働けているわけではないことが分かってきました。
いま彼女は子どもの幼稚園のお迎えに行くなど、会社の時短制度を利用できる環境にあります。
しかし現在は上司にや同僚に恵まれていても、大企業なだけに人事異動などで環境が変化するかもしれないという不安があるというのです。
会社の周りの人、特に男性の方々の意識が大切かなと思いますね。
このように、いくら「制度」を整えても安心して働けない人は意外とたくさんいるのです。
そこで実は働きやすい環境というのはもっと別にあるのではないか?と考えたのが「企業子宝率」です。
「企業子宝率」を発案した意図とは何なのか?
そもそも、企業子宝率は何のために考えられたのでしょうか。
発案者である東レ経営研究所の渥美由喜(あつみゆき)主任研究員のお話です。
よく大企業の方が「制度」が整っていて「子育てしやすい」と言われるんです。一方で、長時間労働で「子育てしながら働きづらい」職場環境も見てきました。
「制度」よりも「風土」の方がはるかに社員の行動を左右すると思っているんですが、この「風土」というのはとても見えにくいものなので、風土を定量化する指標として「子宝率」を開発しました。
確かに「風土が良い会社に勤めたい」という人は多いと思いますが、「風土」という言葉自体が曖昧なために、企業側と働く側、どちらからも見えにくい部分があります。
ではこの「風土」が良い会社、つまり「子宝率」が高い会社とは一体どんな会社なのでしょうか?
社員の満足度が高い会社とは?
企業子宝率「2.15」と全国有数の値をはじき出したのが「NTN袋井製作所(静岡県)」です。
この会社は「ドライブシャフト」と呼ばれる自動車部品を製造する、従業員259人の中小企業。
(ドライブシャフト)
従業員に話を聞くと
男性社員「子ども2人います」
男性社員「子ども3人います」
女性社員「2歳の子が一人と、いまお腹の中に一人います。働きやすいですよ。みんな分かってくれてるので」
と実にはっきりとした声で返答。話している表情には「迷い」や「不自然な遠慮」がなく、とても自然体だったことが印象的でした。
ではなぜ、子育てする社員の満足度が高いのでしょうか?
社長と社員との距離にヒントが?
社長の中島さんは毎日2回、社内全体を見まわることを日課にしています。
とてもフランクに社員と話している姿が印象的で、ちょっと下町ロケットを思い出してしまいました。
そこで「従業員と話して何を見ているのか?」と聞いてみると・・
「従業員の顔色を見ています。その人達がしんどそうでないかどうか。」
社員に何か不安があれば、すぐに解消することが大事だと仰っていました。
なぜ社風の良い会社になれたのか?
しかしこの会社、最初からこのような環境が整っていたわけではありません。
10年前、会社の設立と当時に入社した女性に話を聞くと、彼女は妊娠がわかった時「誰に相談しよう?」と思ったそうです。そこで目に入ったのは同じフロアに座る社長の姿でした。
社長室のドアを「トントン」て叩いて相談するのは勇気はいるけど、いつも近くにいらっしゃるので比較的相談しやすい環境にあると思います。
こうして彼女は会社と相談しながら、育児休業や時短制度を一から作り上げていったのです。
「子宝率」を発案した渥美研究員は次のように述べています。
中小企業は「人」に「制度」を合わせます。
大企業は「制度」に「人」が合わせようとします。
実際に企業子宝率のグラフをみると、大企業になるほど数値が低く、従業員数が少ない会社ほど高い数値を示しているのが分かります。
「子育てする人」で売上を伸ばす会社
次に紹介されたのは企業子宝率「2.17」の値を出した「(株)いちまるホーミング」。
住宅リフォームを手掛ける会社で従業員数20名と少さな企業ですが、ここ5年で売上が倍増しました。社長はその原動力になったのは「女性の力」だったと言います。
建築業はいま本当に人が来ないんです。
私どもの会社で考えますと、これからは女性が主力にならざるを得ないです。
実際に売上を引っ張っているのは女性で構成されたチームで、しかも全員途中入社。仕事と子育ての両立に不安を感じて転職してくる人もいるそうです。
このような女性たちは『顧客の目線に立てること』が強みだと言います。
子育て世代のお母さんたちはざっくばらんにお話してくれますし、ついつい話が盛り上がっちゃったりもしますね。
仕事と家事を両立している。そんな女性の姿を見て入社を決めた女性もいるそうです。(息子さんも笑顔で幸せそうでした)
注目を集める「企業子宝率」の波
注目を集める「子宝率」。実は県単位で企業の調査をする自治体も出てきているそうです。
というのも、子宝率の高い企業というのは「子育て」だけでなく、例えば「介護」など他の家族の問題が出てきた時にも対応しやすい環境だと考えられるので、Uターンなどを働きかけるときに「子宝率が高い企業」というのは自治体の魅力としてアピールできるポイントとなるだろう、と考えられています。
まとめ
これまでは「中小企業=環境が悪い」という考えが一般的で、まだまだ「大企業で働きたい」という人も多かったですよね。中小企業の人員不足がよくニュースで取り上げられてきました。
追い込まれるまで動かないという日本の企業体質を考えると、「幸せな働きかた」の打開策を見つけていち早く提供するのは、先に追い込まれた中小企業なのかもしれませんね。
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私は大企業と中小企業どちらも勤めたことありますが、「仕事のやりがい」や「社風」など気持ちの幸福度が高いのは中小企業でした。
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