高級商品を売るには高いテクニックが必要とされます。
スーパーやコンビニ、大衆的な洋服屋でものを売るよりずっと難しいのです。この場合はどちらかと言えば会社側のマーケット感覚の方が重要になってくるでしょう。
第一線でものを売る仕事をしている人は『販売系』と呼ばれることが多いですが、車や着物など、高級商品を扱う業界では『営業』と呼ばれることが多いのもその証拠。
ボーッと立っているだけでは売れない。
お客様に聞かれたら答える、これでも売れない。
頑張って説明したところで売れない。
こんなこと当たり前すぎるけど、いざ自分でやろうとすると難しく、意外とできる人は少ないもの。
だからこういう仕事をしたことがある人は転職活動でも重宝がられるし、転職後の仕事にも強いと言われます。
あまり業績が上がらなかった人でも、毎日『どうやって売るか?』を自然と考えざるを得ない状況に身をおいていると、自然と総合力が鍛えられるものです。
例えば、化粧品販売へ転職したとします。
化粧品といえば大手企業がひしめき合う激戦区。ここで働く人は『販売員』、もしくはちょっとかっこつけて『美容部員』なんて呼ばれたりします。
化粧品は女性なら毎日使う消耗品。簡単に売れるんじゃない?と思う人もいるでしょうが、それは間違いです。
ドラッグストアで売っているような千円前後の安価な商品を売るのとは違い、そう簡単に売れるものではありません。少なくとも立っていてポンポン売れる商品ではない。
売るためには良さを実感してもらおう。色々使ってメイクをしてあげて、これ素敵でしょ?と時間をかける。
それで売れたのが3,000円。こんなことはザラにある世界です。赤字もいいところですよね。
ここで役立つのが高級商品での営業経験です。
高いものを売るためには商品のブランド力、つまり付加価値を買い手に上手に伝える必要があります。この売り方が自然と身についていると、いざ化粧品を売ろうとした時、買い手に自然な形で商品を買う『良さ』を伝えることが簡単にできてしまいます。
これまで売っていた何十万・何百万もする商品に比べたら楽勝です。楽勝とまでは言わなくても随分簡単に感じられるものであり、これが最大の強みなのです。
また高級商品を販売する営業の場合、保険などのサービスを売る営業経験者より優秀であるとする見かたもあります。
高級商品は相手が『良い気持ち』にならなければ売れないし、多少売れたとしても業績を伸ばすのに苦労します。そのため営業・販売をする多くの人が一度は経験する『押す営業』も、高級商品を扱う人にとってご法度。(中にはやり続ける人・店もありますが。)
『押さずに売る方法』を他の販売経験者・営業経験者よりずっーと考えて働いてきた、その経験が次の仕事で活かされやすいということです。
実際にある大企業の化粧品店・店長の女性が言っていたことです。
『採用するときに販売経験はもちろん重視しますが、何を売ってきたのかを重視するようにしています。言い方は悪いですが、安価な商品を売ってきた人よりも高いものを売る経験をした人のほうが、売ることに対しての根本を掴んでいる人が多く、簡単にあきらめない気持ちを持っているように感じるんです。』
この店長の店では、実際に着物屋で働いていた人を数名採用し、その人達が長く活躍してくれているとのことでした。
これまで女性の仕事に関する話をしてきましたが、男性の営業についても同じこと。
とある建設・リフォーム会社の社長さんに話を伺ったときも同じように『中途採用を行うときは、どんな商品を扱う会社で学んできたかを重視している』と言っていました。
これから就職をする人は、どんな商品を扱う会社に勤めることで長く役立つ力を身につけられるか。
現在、営業や販売の仕事経験がある人は、今後どのような力を身につかれば結果につなげることができるのか。
高級商品を売る営業の人から学べることは多いのではないでしょうか。